有価証券報告書や決算短信で公表されている数値(原本)は、そのまま並べても正しく比較できない場合があります。Speeda データソリューションで取り扱う財務情報では、企業ごとに異なる会計ルールや開示形式の違いを取り除き、すべての企業を可能な限り「共通のものさし」で比較できるよう数値を再構成しています。これを「財務データの標準化」と呼びます。
なぜ標準化が必要なのか
公開されている財務データには、主に以下2つの「不揃い」が存在します。
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会計基準の混在
日本基準(J-GAAP)と国際会計基準(IFRS)では、利益の計算ルールそのものが異なります。そのため、同じ名称の指標でも、中身は同一ではありません。
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表示方法・制度改定による変化
収益認識基準の適用など、同一企業でも年度によって会計基準が変わることがあります。そのままでは、過年度との時系列比較において連続性が担保されません。
例:営業利益
営業利益は、名称が同じでも定義が異なる代表的な指標です。
日本基準では、営業利益は販売費および一般管理費の直下に置かれます。つまり「売上総利益 − 販管費」が営業利益です。一方IFRSでは、その間に「その他の営業収益」「その他の営業費用」が入ります。受取家賃や固定資産売却損益、減損損失、構造改革費用といった、本業の成果とは言いにくい項目がここに含まれます。
▼同じ内容の会社を両方の形式で並べると、以下のようになります(単位:百万円)
| 科目 | 開示数値(IFRS・原本) | 標準化数値 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1,000 | 1,000 |
| 売上原価 | △600 | △600 |
| 売上総利益 | 400 | 400 |
| 販売費および一般管理費 | △250 | △250 |
| その他の営業収益(受取家賃など) | 30 | → 営業外・特別損益内の科目へ振替 |
| その他の営業費用(減損損失など) | △50 | → 営業外・特別損益内の科目へ振替 |
| 営業利益 | 130 | 150 |
仮に、全く同じ中身の会社が日本基準で開示していれば、営業利益は「400 − 250 = 150」となる一方、IFRSの原本では「130」です。つまり、この2社を原本のまま並べると20の差が出ますが、これは収益力の差ではなく、表示ルールの違いによるものです。
標準化では、営業利益より上に混在している非本業の項目を営業外損益等へ振り替えます。これにより、どの企業も「売上総利益 − 販管費」という同じ計算で営業利益が揃います。
標準化で行っていること
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勘定科目の名寄せ(マッピング)
企業ごとに異なる独自の科目名を、あらかじめ定義した「標準科目」へ紐付けます。各社固有の表現を調整したうえで、共通の科目体系に集約します。 -
会計差異の補正
会計基準(J-GAAP / IFRS / US-GAAP)や分類基準の違いを、共通ルールで再計算します。前述の営業利益の例のように、比較を妨げる科目を営業外損益等へ振り替える処理がこれに当たります。 -
表現の統一
複数科目の集約・合算や、費用のマイナス符号への統一といった加工を行い、機械的に集計・比較できる形に整えています。
開示数値(原本)と標準化数値の違い
標準化数値は、原本を「訂正」したものではありません。両者は目的の異なる、それぞれに正しい数値です。IR資料との突合や社外への説明には原本データを、他社比較や時系列分析には標準化数値を、用途に応じて使い分けてください。
| 比較項目 | 開示数値(原本データ) | 標準化数値 |
|---|---|---|
| どのような数値か | 有価証券報告書や決算短信に掲載された、企業の公式発表値 | 会計ルールの影響を調整し、共通ルールに統一した数値 |
| 何を担保しているか | 監査済みの公式決算情報との一致 | 同一基準による企業間・年度間の比較可能性 |
| 適した用途 | IR資料との突合、社外への説明・引用 | 会計基準の異なる他社との比較、時系列での傾向把握 |
| 留意点 | 会計ルールの異なる企業とそのまま比較すると誤認が生じる恐れがある | 公表数値と一致しないため、差異が生じる理由を理解しておく必要がある |
ご利用にあたっての注意点
- 科目の集約・振替等の加工を行っているため、公表数値と一致しない場合があります。標準化前の営業利益・経常利益は、「営業利益(原本)」「経常利益(原本)」として別途収録しています。
- 開示元が表示単位未満を切り捨てているため、詳細科目の合計と上位科目の値がずれる場合があります。
- 営業利益率・EBITDA・ROICなどの比率・算出指標は、標準化後の数値をもとに計算しています。原本の数値から手元で算出した値とは一致しません。
- 算出に用いる勘定科目や計算方法は当社が定めたもので、他社のデータサービスや一般的な定義と異なる場合があります。各指標の計算式は[指標定義一覧]をご覧ください。
収録対象企業・会計基準・科目数・業種ごとの適用勘定科目などの詳細な仕様は、[財務情報のページ]も併せてご参照ください。
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